病院で言語聴覚士による指導を受ける
吃音はれっきとした病気です。
ですから、自分で行った治療が上手くいかなかったり
専門家の指導にしたがって治したいと考えれば、
病院でどもりを治療するのは良い手段でしょう。
病院での治療法
病院に行くとなれば、まず気になるのが
一体どこの科にかかればいいのだろうか、ということだと思います。
どもり治療を行う科は、
心身医学を内科の領域で実践する科であり、主に心身症を扱う。
心身医学とは、心と体、取り巻く環境なども考慮して
それぞれの要素を分けずに統合的に治療していく、といった医学である。
精神疾患を主に扱う科であり、不安、抑うつ、不眠、
幻覚、妄想・・・といった心の症状や病気を治療する。
耳、鼻、のどを診療の対象としており、また
感覚や言語の障害、コミュニケーションの障害を扱う科である。
・・・この三つになります。
上であげた三つに加え、原因や症状によってはリハビリテーション科や
口腔外科の受診をすすめられる場合もあります。
ただし、まだまだ吃音治療を受けられる病院は全国でも少なく、
あったとしても子どもの吃音専門である場合が多いのが現状です。
どもり改善の良質な指導を受けられる病院を探すことは
重要ですが、同時に難しいことだと言えるでしょう。
言語聴覚士とは
次に、どんな治療を行うのかが気になると思います。
耳鼻咽喉科やリハビリテーション科では言語聴覚士による言語指導、
心療内科や精神科では
臨床心理士などによるメンタル面からの治療が中心になります。
つまり、大まかに分けて体の治療と心理的な治療があるのです。
受診科 | 治療を行う人 | 治療内容 | |
体の治療 | 耳鼻咽喉科、
リハビリテーション科 |
言語聴覚士 | 言語指導中心 |
心理的な治療 | 心療内科、精神科 | 臨床心理士 | メンタル面からの治療中心 |
ここでは言語聴覚士による治療を紹介しますね。
「言語聴覚士」という存在、あなたはご存知でしょうか?
国家資格であり、医師の指示のもとに
音声、言語、聴覚、嚥下機能に障害がある人に対して検査、訓練を
行う人たちで、言葉によるコミュニケーション障害の専門家です。
スピーチセラピスト(SP)とも呼ばれています。
この言語聴覚士による指導を受けることで
改善トレーニングに励み、どもりを治していきます。
現在言語聴覚士が勤務している病院や施設は増えていますが、
それでもまだまだ数も経験も十分とは言えません。
病院で治療を行う場合は、頼りになる言語聴覚士がいるかどうかを
事前にしっかりとチェックすることが重要になります。
どもりと言語聴覚士
経験豊富な言語聴覚士の指導を受けられることになっても、
それですぐにどもりが改善されるとは思ってはいけません。
言語聴覚士は言葉の障害の専門家ではありますが
吃音治療の専門家ではないのです。
彼らは幅広い分野を扱っていて、どもりの治療は
その中の一部であるということを忘れてはいけないでしょう。
どもりの治療法だけを専門に学んだわけではないのです。
言語聴覚士による吃音治療は、
これからの発展が待たれる分野です。
指導・訓練の内容
そして、実際にはどんな指導や訓練が行われるのかというと、
- 楽に話せるようになるテクニックを指導
- なめらかに話す方法を指導
- 苦しい重度のどもりの症状を軽度のものへと緩和する
- 遅延聴覚フィードバックなどの機器を使った訓練
- 物事の考え方を変える認知行動療法
・・・など、近年では言語症状の改善だけではなく、
心理面や社会面、感情面についても考慮した治療が行われています。
遅延聴覚フィードバックについては、
この後のページで詳しく説明していきます。